認知症とは「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」をいいます。
つまり、後天的原因により生じる知能の障害である点で、知的障害(精神遅滞)とは異なるのです。 今日、認知症の診断に最も用いられる診断基準のひとつが、アメリカ精神医学会によるDSM-IVです。各種の認知症性疾患ごとにその定義は異なりますが、共通する診断基準には以下の4項目があります。
もっとも近年では、認知症早期診断の進歩により、こうした診断基準を満たす状態は、かなり進行した認知症であり、早期治療にはつながらないという意見があります。そこで、早期診断を可能にする新たな診断基準も作成されています。
認知症の原因としてはアルツハイマー病が最も多いとされますが、様々な疾患が認知症の原因になりえます。とくに、中枢神経系に病巣をもつ次の疾患が代表的です。
ところで今日、軽度認知障害という用語がアルツハイマー病など認知症の前駆状態を意味する状態という意味で使われるようになっています。その代表がMild Cognitive Impairment(MCI)です。
この状態での診断が注目される背景には、新たな治療法開発にともなって認知症の早期診断が重要になったことがあります。前述のように従来の標準的な認知症の診断基準に示された項目を満たすようになった段階は、けっして早期とはいえないのです。そこで、認知症最初期の特徴を明らかにすることが必要になり、MCIが注目されるようになったのです。
認知症は、脳の細胞がさまざまな原因で減少したり、働きが悪くなったりすることによって、記憶や判断力の障害などが起こった状態です。認知症になると、食事を食べたことを覚えていない、自分のいる場所がどこなのかわからない、できたはずのことができなくなるなど、日常的な社会生活や対人関係に支障が生じます。
認知症を分類すると、代表的なものは「アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症(ピック病)」の4つです。
日本ではアルツハイマー病が多く、全体の60%以上を占めています。さらに老年期の認知症では約80%がアルツハイマー病といえますが、アルツハイマー病と血管性認知症の混合タイプも少なくありません。これらの病気を根本的に治す治療法はありませんが、アルツハイマー病とレビー小体型認知症は抗認知症薬で進行を遅らせることが可能です。
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