社会不安障害

社会不安障害

社会不安障害社会不安障害(Social Anxiety Disorder)とよばれるこころの病気があります。頭文字をとってSAD(エス・エイ・ディー)とも呼ばれたり、社会恐怖(social phobia)あるいは社交恐怖ともよばれたりすることもあります。

人前で話したり、行動したりする場面で強い恐怖感や緊張感を伴い、本人が著しく苦痛を感じたり、時には仕事や学業などに影響がでたりする状態です。

たとえば、働いている方や学生の方であれば会議で意見をいうことやプレゼンテーションをすることに強い恐怖を感じたり、主婦の方であれば子供の親同士のあつまりに参加することに緊張して悩まれたりということが相談されるきっかけになっていらっしゃるようです。

人によってはそのような場面を避けてしまうことにより、本来の能力よりも周囲からの社会的な評価を落としてしまったり、もともと人付き合いが嫌いなわけではないのにもかかわらず、友人や異性との交際が消極的となり、不本意ながら孤立しがちとなってしまったりすることもあります。

時には不安をまぎらわすために、アルコールや薬物の乱用を引き起こすことがあります。

多くの方が性格だからと半ばあきらめていらっしゃることが多いのですが、現在では、不安障害の一つで治療可能な病態と考えられています。

社会不安障害の具体的な症状

人前で話をしたり、行動したりするとき、「恥をかいてしまうのでは…」と強い恐怖がある

極端なあがり症である

失敗する事や、注目される事がとても怖い

恥をかく事が怖くて、人に話しかけたりできない

人と会ったり、集まりに参加したりの予定があると何日も前から緊張が続く

人前で顔が赤くなったり、汗をかいたり、震えたりすることがありつらい

人前で発表したりすることが不安で避けたくなる

人前で食事をするのが苦痛だ

誰かに見られながら字を書くのが苦痛だ

上記のような状況はもちろんですが、「そのような場面になるのではないか」ということを考えただけでも症状が出現する方もいらっしゃいます。また、特定な場面でのみ苦痛を感じる方と、かなりいろいろな場面が苦手な方がいらっしゃいます。

良くあるご質問

対人恐怖症とはちがうのでしょうか?

日本の従来から臨床診断である「対人恐怖症」と社会不安障害は多くの部分で重なるものと考えられています。日本語としては対人恐怖という言葉の方がしっくりとくる方も多いかもしれません。


珍しい病気なのでしょうか?

報告によっても差がありますが、社会不安障害の生涯有病率は3%~13%程度といわれています。つまり、多い報告では実に10人に1人以上の人がこの病気で悩むと言われ、決して珍しい病気ではありません。

ただし、うつ病が社会で認知されてきている一方で、まだまだ社会不安障害については世間の認知度が低いためか、病気だと考えられず一人で思い悩んでおられる方が多いと思われます。

実際、治療につながっている人は社会不安障害をもつ人のわずか2%程度ではないかとも言われています。


精神病なのでしょうか?

不安障害といわれているもののひとつであり、従来の精神医学の考え方に従えば、いわゆる精神病ではありません。


どのような治療を行いますか?

おもに薬物療法と認知行動療法的アプローチを組み合わせて行っています。

薬物療法としては症状の程度に応じてSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や抗不安薬などを使用します。

認知行動療法としては、行動を通して不安恐怖を感じる場面を段階的に克服しながら不安に耐える力、付き合う力を身につけていきます。


できれば薬物は使用したくないのですが。

すべての人に必ず薬物を処方するわけではありません。

しかし、多くの方は受診を希望される前に、お薬なしで自分なりにありとあらゆる工夫をされながらもうまくいかず自信をなくされている方が多いのも事実です。

症状の程度によってはうまくお薬を利用しながら不安を乗り越えていく方がスムーズに治療が進みますので、その場合には薬物を利用する事をお勧めします。

薬物を使用するにしても最小限のものといたしますし、処方の際には服薬によって期待できる効果や副作用について説明いたしますので、疑問や不安については遠慮なくご相談ください。


薬の副作用が心配です。

お薬を処方する前には得られる効果や副作用の可能性については説明いたします。
服用前、あるいは服用後、気になる点があれば遠慮なくご相談ください。


治療はどのくらいの期間続ける必要があるのですか?

薬物の効果が実感できるのは残念ながら少し時間がかかります。効果がえられるまでには個人差がありますが、最低でも1ヶ月~1ヶ月半ほど定期的に服用していただかないとあまり効果を実感できないことが多いです。ほとんどの方は約6ヶ月以内には効果を認めるといわれています。しかし、その後、すぐに薬をやめてしまうと症状が再燃してしまうことがあり、約1年間は再燃予防のために服用する事をお勧めしています。


性格ではないのでしょうか?

もともと緊張するタイプではなかったのにも関わらず、ある時期から徐々に緊張するようになったということであれば、社会不安障害の可能性が高いと思います。

また、子供のころに発症しているということもまれではありませんので、昔から緊張していたという方も社会不安障害ではないともいいきれない場合があります。


子供が自宅に引きこもっています。社会不安障害でしょうか?

いわゆるひきこもりの方、ニートと呼ばれる方の中で社会不安障害を抱えて悩んでいらっしゃる方は実際に多いと思います。

ただし他のこころの病気を抱えている可能性から、せまい意味での「病気」にはあたらない方まで含まれていると考えられ、自宅にひきこもっているということだけをもって一概に社会不安障害とは言いきれません。

ご本人を受診させていただきお話を伺わせていただくことが一番だと思います。


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